「正直、あの試合を…」加藤陸次樹はどう立ち直ったのか
「ファーのコースが空いていなかったので、とっさにニアへ蹴ったんですけど……西川選手の圧迫感もありましたけど、思ったようにボールに当たらなかった。あれを決めていれば流れは変わっていたのに」
優勝争いが佳境を迎えた最終盤で喫した今シーズン初の3連敗。しかも、京都サンガF.C.戦に続いて浦和戦もチームが無得点に終わった結果に、シャドーの一角で攻撃陣をけん引してきた加藤は誰よりも責任を感じていた。唇をかみしめてから3週間。どのように自らを立て直したのか。加藤が明かす。
「正直、あの試合を忘れるしかないと。忘れるというか、次へ向けて準備する期間が十分にあったので、毎日の練習でボールへの当てどころやスピードなどを含めて、シュート全体をもう一回見返しました。体のちょっとした向きでシュートは本当に変わってくる。そこを徹底的に見つめ直せたと思っています」
浦和戦で今シーズン4度目の、今シーズン限りでの現役引退を発表した10月以降では初めてベンチ入りを果たした広島ひと筋21年目のバンディエラ、38歳のMF青山敏弘は心配無用を強調していた。
「この苦しさを自分たちで乗り越えなきゃいけないし、みんなが通る道だと思っている。それを乗り越えて初めてつかめるものだし、いまはまさにそこを試されている。優勝とはそういうものでしょう」
焦る必要はないと語った青山は、落ち込む加藤にも「特別な言葉はかけません」とこう続けた。