「自分の人生がかかっている」カターレ富山とのPO決勝
ここからは1−1を継続しつつ、2点目を狙っていく展開になった。相手も反撃に打って出ようとしていたが、若きMF大関友翔の足が釣るなど体力低下が見て取れた。その福島とは対照的に、山雅は最後までペースダウンしなかった。
霜田監督はラスト10分を切ったところで山本(康)、高橋、菊井というチームの軸を担う3人を下げるという大胆な決断を下したが、「中盤は玲央に任せておけば大丈夫」という信頼があってこそ。安永は最後の最後まで強度を落とすことなく、タイムアップの笛まで走り切り、父が言うようにゲームを楽しむことができたのである。
結局、試合は1−1のドロー。山雅が12月7日におこなわれるPO決勝戦へ駒を進めた。その相手は3位・富山。安永がかつて在籍した古巣でもある。次は勝たなければJ2には上がれない。
条件的には厳しくなるが、本人は「引き分けOKというのがないんで割り切れる。逆にすごいやりやすいかなと思います」と前向きにコメント。失うものはないというチャレンジャー精神でぶつかっていくつもりだ。
「僕にとっては上がるか上がらないかで自分の人生がかかっているなと思う」とも語ったが、J1からJ3に2カテゴリー下がってきた24歳のボランチにとっては、ここがキャリアの正念場なのは間違いない。一度は離れたJ2に戻ってこそ、新たな道が開ける。そのチャンスが目の前にあるのだから、それをつかまない手はない。
「次はホントに自分を表現できればいい。ボールを奪うとかゴールを取るとか、そういうことですね」と本人は明確な仕事を遂行していく覚悟だ。パンチのある彼のシュート力がここ一番で発揮されれば、山雅にとっては理想的。次は背番号「46」の一撃でチームを4年ぶりのJ2へと導いてほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
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