「みんなで集まった時に…」
「先に失点しちゃったんですけど、みんなで集まった時に誰も焦っていなかった。1点取れる自信もあったから、焦って点を取りに行くよりも、まず失点を重ねないようにしようと意思統一を図りました」
そうやって落ち着いた状態で戦い続けられたのも、リーグ戦終盤5連勝の成果に他ならない。「プレーオフは勢いが大事」というのは鉄則だが、今の山雅にはそれがある。前節のゴールで弾みをつけた安永も自信を失うことなくプレー。武器であるボール奪取力や運動量を全面に押し出し、時には遠目からのシュートも放った。
前半のデータでは福島を下回ったものの、彼の中では「まだまだイケる」というマインドがあったという。
後半に入ると、熱狂的サポーターの陣取るゴール側に攻めていく山雅はより一層、ギアを上げていった。サイドを攻略し、クロスを中に入れる回数も増加。武器であるリスタートも数多く得るようになる。
その流れを形にしたのが、65分のシーン。キャプテンマークを巻く菊井悠介の右CKにファーサイドで反応した野々村鷹人がヘッド。これを相手DFがゴールラインギリギリのところで弾き出し、最後は高橋祥平が蹴り込んだが、結局は野々村のゴールと認定された。
いずれにしても、値千金の同点弾が生まれたのは紛れもない事実。高橋がゴール裏に走って歓喜を爆発させるところに、安永も歩み寄り、ガッチリと抱擁を交わす。「メチャメチャ嬉しかったですね」と背番号「46」は本音を吐露した。