MF：財前宣之

生年月日：1976年10月19日
主な在籍クラブ：ベガルタ仙台、モンテディオ山形

　財前宣之は、Jリーグ創設当初の日本サッカー界で「天才」と注目を集めた選手だった。

　抜群のテクニックで相手の守備を翻弄した財前は、1993年のFIFA U-17世界選手権でベストイレブンに選出されるなど、ユース時代からそのポテンシャルの高さが際立っていた。当時のU-17日本代表では、中田英寿が控えだったという事実からも、財前の才能の突出ぶりがうかがえる。

　ヴェルディ川崎（現東京ヴェルディ）の育成組織で育った財前は1995年にトップチーム昇格を果たすが、直後にイタリアの名門ラツィオに留学し、才能に磨きをかけた。

　しかし、左膝前十字じん帯断裂の重傷に見舞われてしまうと、1996年には当時スペイン1部だったスペインのログロニェスに加入したが、再び前十字じん帯を断裂してしまった。

　財前は負傷が癒えたあと、1999年に当時J2のベガルタ仙台に加入したが、またしても前十字じん帯断裂の大ケガで長期離脱を余儀なくされた。

　仙台でリーグ戦154試合に出場し、その後はモンテディオ山形で105試合に出場したが、「あのケガがなければ」と悔やまれるキャリアとなった。

　2016年にフジテレビで放送された番組『栄光なき天才たち』で、財前は当時の負傷を振り返った。あるとき、海外クラブで招集メンバーに入るチャンスを得たとき、前日に負ったケガの痛みで試合に出られないと伝えた際、言葉がうまく通じず、やる気がないと判断されてしまったという。以降は痛みに耐えて出場を繰り返すようになって、大きなケガにつながってしまったと語っていた。