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Jリーグ 2週間前

葛藤もストレスもあった。それでも小林悠はゴールを決める。川崎フロンターレが苦しい時「ゴールするのは自分だ」【独占取材】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

歳を重ね、立場も変わる。「浮き沈みもあった」「受け入れたくはないけど…」

 一方で記録が物語るように、時間の経過とともに途中出場で決めたゴールが増えている。J1初ゴールを決めた2011シーズンで「6」を数えたそれは、その後は2018シーズンまでの7年間でわずか「2」だけ。先発で全ゴールを決めたシーズンも5度を数える。2019シーズンから変化が生じ、33歳になった2020シーズンには先発10試合に対して途中出場が14試合、ゴールも前者の「6」に対して後者が「8」と逆転した。

「そのあたりは何て言うんだろうな、まだ受け入れられなかったというか、もちろん先発で出たかったし、年齢的にもまだやれるという思いもあってすごく葛藤もあった。いまもそうですけど、なぜスタートで出られないのかとストレスを募らせるなかで、それでも途中出場で点を取らないと先発にも戻れないといった気持ちの浮き沈みもあった。すごく難しい時期もあったけど、年齢を重ねればいずれは誰にでも訪れる状況だし、いまはそれを受け入れて……受け入れたくはないけど、何とかもがきながらやっている感じですね」

 タイミング的にも川崎での5年間で53ゴールをあげ、2021シーズンには23ゴールで得点王とMVPを獲得したFWレアンドロ・ダミアンが加入した時期と一致する。小林はさらにこう続ける。

「勝利に直結するフォワードはチームが一番お金を使うポジションだし、自分が入った頃からいつも身近にライバルがいました。ほとんどが外国籍選手であり、日本人ならば代表歴のある選手が常にいたなかで、それでも彼らと切磋琢磨してきたからこそ、いまの自分があると思っています。彼らには絶対に負けたくない、という強い気持ちでプレーしてきたし、それはいま現在でもまったく変わっていません」

 今シーズンのフォワード陣には、ブラジルのボタフォゴからエリソンが完全移籍で加入し、昨夏に加入した元フランス代表のバフェティンビ・ゴミスと、桐蔭横浜大学から加入して2年目のホープ、山田新という顔ぶれ。そのなかで、リーグ戦が残り2試合の段階で先発が2試合にとどまっている今シーズンを小林はこう振り返る。

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