小林悠が自分に言い聞かせた言葉と「いい準備ができている証」
「カズさんを超えたときに並んだと知らされましたけど、それ以降はあまり意識していませんでした。ガンバ戦の後に記事で書かれていて『ああ、超えたんだな』と思ったというか、一番になれたのは素直にうれしかったですね。途中出場からのゴール数は、これから先もおそらく抜かれないんじゃないかな、と」
現役選手に限れば2013シーズンのチームメイトで、同じ1987年生まれのFWパトリックが24ゴールで続く。もっとも、今シーズンから名古屋グランパスでプレーするパトリックは、残り2節となった時点で5ゴールすべてを先発で決めている。こうした状況が、小林を「もう抜かれない」と苦笑させた。
それでも2つのゴールはともに、ファン・サポーターの記憶にも鮮明に刻まれている。
1点目は開幕から苦戦が続いていた川崎が、4月に入って2分け2敗と未勝利に陥り、すべて無得点という状況で迎えた同月最終戦で生まれたものだった。2点目を決めたガンバ戦は2017年から川崎の指揮を執り、その間に7個ものタイトルをもたらした鬼木達監督の退任発表後で初めて迎えた一戦だった。
「いま思えば、広島戦では『チームが苦しいときにゴールするのは自分だ』と言い聞かせてピッチに入りましたし、ガンバ戦でも『オニさん(鬼木監督)の発表があった後の特別な試合で、ゴールを決めるのが自分ならいいな』と思っていました。オニさんが歴代最速でJ1通算100勝をあげた、鹿島アントラーズ戦でも僕のゴールで勝っているし、そういう節目で決めるのも僕だと常に思っています。強い気持ちでプレーしないとそういうゴールは生まれないので、特に気持ちの部分ではしっかりといい準備ができている証だと思います」