ニューカッスル時代 「処分を受ける前、自分の中には2人の人物がいた」
「まさかあのトナーリが賭博に手を染めていたのか」というショックを受けた人は少なくなかったはずだ。陽気なイタリア人のイメージとはかけ離れ、口数は少なく、淡々とプレーをこなす。優等生的な印象が強かった、あのトナーリが……。
こうして、10ヵ月の謹慎期間を経て、90%もの減報を自ら申し入れ、8月28日に出場停止の処分が解かれた。トナーリは、英国メディア『Sky Sports』のインタビューでスタジアムを離れた日々を振り返った。
「処分を受ける前、自分の中には2人の人物がいた。家族と過ごす生活があり、そして、トレーニングを行うグラウンドでの生活だ。グラウンドでは、とても内気で、ほとんど誰とも話すことはなかった。チームメイトとも口を交わすことはなく、とりわけスタッフとの会話は難しいものだった。
今では、その頃とは全く異なる自分になった。家族といる時も、監督やチームメイトと話す時も、そしてサッカーをする時も常に“サンドロ”。同じ一人の人間になったんだ」
サンドロは、賭博発覚後に、生まれ変わったことを強調した。サッカー選手は孤独だ。今ではSNSの普及により、酒場やバー、イタリア人が愛するディスコに顔を出せば、すぐに写真を撮られ、拡散されてしまう。トレーニングが終われば、家の中で閉じこもり、ストイックな生活を送り続けるしかない。それゆえ、時間を持て余してしまい、賭博の罠に陥っていしまったのだろう。
だが、処分を受けた後のトナーリは孤独ではなかった。