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【開拓者としてのFC町田ゼルビア3】「本当にいいサッカーをやるね」いまアカデミーが熱い。改革のコンセプトと進捗に迫る

シリーズ:開拓者としてのFC町田ゼルビア text by 後藤勝 photo by Getty Images

「ゼロ→イチ」が一番大変。「その変化は確実に感じています」

「スカウティングを始めた最初の期に当たる選手が現在の中2。この選手たちが2028年には高校3年生になって、その時点でアカデミー全部が改革開始以降に獲得した選手だけになります。スカウティングネットワークもこの2、3年で相当広がり、年々より優秀な選手たちが来てくれるようになっています。トップチームがJ1に行って注目されていることもあり、協力者たちが急に増えてきているので、今後はさらに精度の高いスカウティングができるようになると思います。

 あとはグラウンドですね。自分たちの基地といえるグラウンドができてくると、成長がさらに加速するのかな、と。そこは私の力が及ぶところではないので、待つしかないのですが。今は、まさにコーチたちが『ゼロ→イチ』で重い石をみんなで持ち上げているところで、ここが一番大変です。一回転がってしまえばある程度のとこまで転がっていってくれるでしょうけれども、そのある程度が今は遠い。グラウンドの問題を克服したり、さらに良い選手が集まってくれるように魅力的なサッカーを認知させるということをやっていくしかないと思っています」

 ゼロからイチを起こしていく、馬力が必要な段階。その時期故に、成長もわかりやすい。新体制になってからユースに加入した高校1年生が今年は3年生。新しいスタッフも3年目で、この間の変化を菅澤ダイレクターは明確に認識していた。

「変わったのはグラウンドレベルでのサッカーの表現。我々はこういうサッカーをしたいんだということは、やっている選手はもちろんそうですし、周りの人たちはなんとなく分かり始めてきてくれている。特にユースが今、本当にいいサッカーをやってくれていて、その変化は確実に感じています」

 町田のアカデミーはジュニアからユースまで学年ごとに細かく分けていくと8カテゴリーで活動中。練習しているグラウンドがまとまっていれば1日で視察することも容易だが、分散されている現状ではそのすべてを1日で見るのは難しい。また、自前のグラウンドではないこともあり、練習をし終わったその場で膝を突き合わせてじっくりと話すこともなかなか容易ではない。

 環境面ではまだ困難が伴っているが、指導者の努力というソフトパワーで足りない点を補い、改革を進めている。もしトップチームのように施設も整備されればさらなる飛躍を遂げるのだろうと予感させる熱気が、現在の町田アカデミーには漂っている。

(取材・文:後藤勝)

 
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【了】
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