海外遠征でも通用した「FC町田ゼルビアらしいサッカー」
「ジェフのジュニアユースで指導をしていた時、スペインで中1の大会に出たことがあります。その時、圧倒的に向こうのほうがサッカーを知っていて、それに対して自分たちには戦えるベースがない、大きくもなく速さもないのにサッカーを知らないでどうやって太刀打ちできるのか、と思いました。
ジュニアでは(5段階で評価したときに)体育3レベルの選手が大体巧いんですよね。体育5の子たちは下手なんですよ。体育5の子は体育3の子の最高の技術とか戦術の中に入って最初は何もできないんだけど、最後に上がってくるのは(体育5の)彼らだよと言えるような、(サッカーとはこういうものだと刷り込む)そのベースを作っていくことが必要だなと思いました。それがここ20年から30年仕事をしてきた中での、一つの結論だと思っています。だから、町田にはジュニアがたまたまあったんですけど、あってよかった、と思います」
このジュニアを含め、町田は各年代で頻繁に海外遠征、海外合宿を繰り返している。その成果を選手たちが語る時には、自分たちが適切に考えていい判断を下し、ボールを握って前進するサッカーが通用したことを挙げている。
「先日リヨンに行った時も、その部分ではこちらの方が上回っているということは対戦相手も認めていることで、我々はどういう選手を作りたいのか、どういうサッカーをやりたいのかということを強く示せたのと同時に、選手がこれはこれですごく楽しい、もっと巧くなりたいと思える一つの要因にもなっているのかなと思います」と、菅澤ダイレクターは語った。
フィジカルがなくとも楽しいサッカーができて、それで相手を上回ることもあるという体験を得られる機会が、アカデミーのコンセプトについての確信を深めることになっている。こうしてあらゆる施策が機能し、アカデミー全体の育成力を増し、地位を向上させてきている。菅澤ダイレクターの口からは、今後の見通しは明るいと感じさせる言葉が出てきた。