FC町田ゼルビア側の希望。浮かび上がる課題が…
町田側にある希望の一つは、ヨーロッパで開催される育成年代の国際大会に参加すること。ただ、ここで問題となるのは、学制の違い、カレンダーの違いによって、参加しにくい時期があるということだ。冬休み、日本国内でのリーグ戦中、学年の変わるタイミング……。たとえば現地では3月頃に開催される大会が多いようだが、ここでU-14の大会が開催されるからと言って、中学3年生から高校1年生にかけての進学を迎える選手たちを派遣してよいものかどうかは思案のしどころ。早くも日本と欧州の違いゆえの課題が浮かび上がってきている。
ただ、菅澤ダイレクターは提携を発表する前に3週間ほど視察をおこない、朝から夕方まですべてのカテゴリーの練習を二巡したほどの努力家。その熱意に応えようと、最大限要望が通るように、常にリヨンと連絡を取り合っている。
しかし、アカデミーの欧州遠征は田口部長が手掛ける仕事の一つ。ほかにもマーケティング部本来の仕事というものがあり、チケット、ファンクラブ、グッズといった「B to C」に関する収益化をしなければならず、一方で海外事業担当としてはASEAN諸国に飛ぶ仕事もある。現在で言えばタイのバンコクでサッカークリニックを開催するべく、スポンサーを集めるというミッションがそれだ。
Jクラブの東南アジア進出といえば①現地スター候補選手の獲得、②サッカーコンテンツを用いて親会社の宣伝に貢献、③姉妹都市提携に基づく友好親善、といったパターンに分類される。町田の場合はまだ選手の行き来がなく、あえてサイバーエージェントを浸透させていく必要もない状況だが、町田市には姉妹都市が一つもないということが、町田をASEAN諸国へと駆り立てる要因になっている。現地で今後のプラスになる事業に取り組み、町田市と海外の交流を盛んにしたり、サイバーエージェントの事業意欲を増進させるといったような刺激を与えたいという想いが、田口部長の原動力になっているということらしい。