海外クラブ提携の現実「紙切れで終わった」苦い過去も…
「この時は、ちょっと言葉は悪いですけど、いわゆる『紙切れで終わった』と形容されるものになりました。事業的な交流、選手間の交流や指導者間の交流を目的とした包括協定みたいなものは世の中に多いと思うのですが、それだと失敗するのだなと、私はその時に感じました。
今回は、ではリヨンさんがどういったことをやりたいのか、パートナーシップで何を実現したいのかということを聞いていき、その中で最終的にはアカデミーというものが見えてきた。そうなのであれば、アカデミーに特化したパートナーシップを結び、そこで何をやるかを具体的に示していくことで、より良いパートナーシップの形になり、相手が求めるものも、私たちが求めるものも実現する可能性が高くなるだろうと思ったんです」
「町田を世界へ」というクラブビジョンの通り、より多くのアカデミー選手をトップチームに昇格させ、世界的な舞台で活躍する選手を輩出することもクラブとしての願い。このビジョンを進展させるために田口部長は、菅澤大我アカデミーダイレクターの意思を確かめながら、その要望を満たすよう町田側の窓口としてリヨンとの折衝を続けてきた。それはリヨン遠征の実現を見る限り、順調に進んできたものと思われる。
リヨンとの契約期間は3年間。この間、町田とリヨンそれぞれの選手たちがどういう推移を辿るのかをじっくりと見ていくことになる。重要なのはリヨンに従うのではなく、あくまでも対等な関係で事業を進めていくこと。田口部長としても、菅澤ダイレクターの要望を実現させるべく「私たちが求めるものはリヨンに伝える、リヨンから言われたものであっても要らないものは要らないと、はっきり線引きする」という姿勢で予定を組んでいるという。