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【特集記事】開拓者としてのFC町田ゼルビア<第2回>
J1昇格初年度ながら躍進するFC町田ゼルビアだが、革新的なのはトップチームだけではない。【連載:開拓者としてのFC町田ゼルビア】では、ビジネススタッフ、海外事業、育成の3つのトピックを取り上げる。第2回となる今回は、オリンピック・リヨンとの提携を実現した海外事業について話を訊いている。(取材・文:後藤勝)
J2時代に持ち上がった提携の計画
今年7月29日、FC町田ゼルビアがオリンピック・リヨンとのアカデミー部門におけるパートナーシップ契約締結を発表したことは衝撃的だった。欧州5大リーグの強豪クラブと手を結ぶこと自体もそうだが、海外クラブとの提携が具体的にどういう事業がおこなわれているのかを外部からは把握しにくくなりがちなところ、育成面に特化したことで実効的な取り組みがなされるのではないかと推し量ることができたからだ。
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さっそく、FC町田ゼルビアユースU-17が8月13日から22日にかけて10日間のリヨン遠征を実施。急展開にも思える動きだったが、じつは以前から温めていた計画を実行に移したものだという。海外事業担当を兼任する田口智基マーケティング部長は次のように説明した。
「交渉の段階で1年半から2年くらいかかっています。最初にお会いしてからどのような契約でどういうパートーシップを結んでいくか、そもそもオリンピック・リヨンとして提携する相手が我々でいいのか、我々は相手がオリンピック・リヨンでいいのか。水面下で、遠征に行くならここにしようということまで話を進めていました。パートナーシップを結ぶというのは重要なことですから、しっかりクラブとしても吟味して、リヨンさんともコミュニケーションを密に取りながら、長い時間をかけてマッチングしていたものなんです」
つまりJ1に上がったから著名な海外クラブと提携できたというわけではなく、J2にいる時からリヨンとの提携をアカデミー強化に役立てる計画は始まっていた。しかも最初のアプローチはリヨンのほうからおこなわれたのだという。「彼らは『リヨンのビジョンと(アジアで)一番マッチしそうなクラブが町田だった』と言っていました」と、田口部長。自分たちのポテンシャルが認められてのことであり、町田にとっては願ってもない話だったが、事は慎重に進められた。
田口部長には過去に対する反省がある。2010年には米国の首都ワシントンD.C.をホームとするメジャーリーグサッカーのD.C.ユナイテッドとクラブ間で提携に合意したことがあるが、このパートナーシップは1年間で終わってしまった。