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控えでも「嫌な顔見せず…」ヴィッセル神戸、佐々木大樹は人としてデカくなった。天皇杯制覇を「100%喜べる」理由【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

中谷進之介との空中戦。佐々木大樹の工夫とは?

「僕の場合、基本的に試合の途中から入るケースが多いので、ああいった場面だと、僕が競る回数の方が多くなるのかな、と思っています。もちろん試合状況にもよりますし、ボールが落ちてくる場所やキックの長さも考えながら、最終的にはサコくん(大迫)と目を合わせて決める感じですね」

 10日に行われたJ1リーグ第36節・東京ヴェルディ戦を欠場していた大迫は、怪我が癒えていない状態で先発していた。一方の佐々木は昨シーズンから、デュエルの強さに自信を抱いていた。言葉を補足すれば、この場面では交代出場したばかりのフレッシュな自分に任せてほしいと大迫へメッセージを送った。

 ただ、ガンバのゲームキャプテン、DF中谷進之介が背後に迫ってくる。身長180cm体重77kgの佐々木に対して中谷は182cm77kg。確実にマイボールにするために、佐々木は肉弾戦で工夫を凝らした。

「体をちょっと当てて、思うようなクリアを相手にさせない。ロングボールがきたときには、自分のなかでそういった点も意識しているので、あの場面ではその狙いがうまくいったと思います」

 佐々木自身はボールに触れていない。しかし、制空権を争うなかで体が接触し、バランスを崩した中谷のクリアも小さくなる。佐々木を信頼して、競り合いを任せた大迫がすぐこぼれ球を拾い、体を反転させながら、ペナルティーエリア内の左へ走り込んでいったMF武藤嘉紀へ絶妙なパスを通した。

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