勝利を決定づけた92秒。そのとき何が起きていた?
起点となったのは自陣右サイドの田中だった。板倉が入れ替わられそうになったところでボールをつつき、そこから遠藤、南野、田中とつながったボールは左サイドへ。中村敬斗、町田浩樹を経由して中央の板倉にボールが渡る。板倉からパスを受けた町田が右サイドへ展開すると、中央でパスがつながり、再び左サイドへ。中村がサイドチェンジすると、右サイドでボールを受けた伊東純也が久保建英とパスを交換して突破し、クロスを小川航基が頭で合わせた。
1点を返され、中国に反撃のムードが最高潮となっていた時間帯だったが、日本代表はやるべきことを変えなかった。実に92秒。フィールドプレーヤー全員がボールに触り、相手を翻弄した結果として生まれたゴールだった。
日本代表に3点目が入ったころからだろうか。中国代表が疲労を隠せなくなってきた。次々と座り込み、負けているにもかかわらずリスタートも遅かった。
81分のシーンも前半のジャブがボディーブローとして効いている。フィールドプレーヤー全員を中国陣内に押し込んだ状態で、遠藤航からリターンパスをもらった板倉滉が、シャドーの位置から降りてきた鎌田大地に縦パスを挿す。鎌田は近くの遠藤に落とし、ボールは縦関係となっていた田中碧へとダイレクトでつながる。田中はダイレクトで鎌田とワンツー。ゴール正面25mほどの距離から放ったミドルシュートはわずかに左に逸れたが、少ないタッチ数で4人が絡んだいい攻撃だった。
田中は言葉を選びながら丁寧に試合を振り返っていた。