「もう少し早く変化をつけるべき」
「3枚(バック)で前進するのが最初の狙いで、自分が高い位置を取っていたんですけど、侵入するときに3バックで1人フリーになってもう少し楽に運べれば(いいパスを)入れられた」
インドネシア代表戦のように、南野拓実などがライン間でボールを受けるシーンはほとんどなかっただけでなく、そのパスがミスとなり、ボールを失う回数が多かった。これは中国代表の2トップとトップ下が日本代表の3バックを牽制しつつ、ライン間のところは3人のMFが献身的に埋めていたから。サイドにボールを運んだとしても、4バックと3MFがサボることなくスライドしていた。3m狭い横幅は、中国代表の横のスライドをアシストしていた。
「(3バックは)プレッシャーがかかりながら運んでいたので、そうなると縦パスが長くなる。そこは(後ろを)4枚に変える必要もあったかなと思っていた。長い縦パスで取られた部分はもう少し早く変化をつけるべきだったかな」
横幅に加え、もう1つの敵が日本代表に立ちはだかる。
3バックがボールを容易に運べなかったのはピッチの影響もあった。久保建英は試合前日に「あんまり好きじゃない。人工芝っぽい」と言っていた。町田浩樹も「やりにくかった。幅というより、芝生の方がみんなやりにくかったかな」と話す。芝が長く、水もほとんど撒かれていないピッチは、ボールを保持する日本代表にとってはやりにくい環境だった。
それでも、根気強く日本代表は守備網をこじ開ける作業を続けた。その意識はチーム全体で共有されていたと町田は明かす。
「ピッチの幅は狭くても、自分たちがワイドに立って、幅を広げる作業をやろう」
ビルドアップに苦心していた。ただ、根気強くこじ開ける作業を繰り返したことで生まれたチャンスもある。「前半は相手がだいぶブロックを作っていて難しかったんですけど、後半やり続けたことでだいぶ空いてきた」と町田は言っていた。
日本代表の3点目は、追い上げに勢いづく中国代表の息の根を止めるものだった。ゴールは、「こじ開ける作業」を続けていたからこそ生まれたものだった。