湘南ベルマーレ(2020~2021シーズン)
【写真:Getty Images】
監督:山口智
日本のみならず、世界中を襲った新型コロナウイルスの感染拡大。湘南ベルマーレはこの未曾有の疫病の影響を受けながらも、奇跡的なJ1残留を果たしている。
湘南は2020シーズンのJ1リーグを最下位で終えた。通常のレギュレーションであればJ2降格となるが、このシーズンはコロナ禍の真っ只中。前例の無い状況を受け、Jリーグが全カテゴリにおいて「昇格あり」「降格無し」の特例ルールを適用をしたことでJ1に留まることができた。
しかし、翌2021シーズンはこの特例ルールが湘南を危機に陥れる。2クラブがJ2から昇格し、降格クラブが無かったJ1は全22チームに。これにより2021シーズンは「昇格2・降格4」、すなわちJ1下位4クラブが自動降格するという厳しいレギュレーションになった。
このような条件で迎えた2021シーズン、湘南は開幕3連敗と低迷。一時は、第6節から第13節まで8試合無敗で11位まで順位を上げることに成功したが、残留争いから抜け出すことはできなかった。
第36節終了時点で、大分トリニータ、ベガルタ仙台、横浜FCの3クラブがJ2降格(17位以下)決定。最終節を前に、降格の可能性が残るのは清水エスパルス(15位)、湘南(16位)、徳島ヴォルティス(17位)に絞られた。
迎えた最終節、湘南はガンバ大阪相手にスコアレスドロー。しかし、清水が2-1勝利、徳島が2-4敗北となったことで湘南の残留が確定している。
特例ルール適用によって命拾いし、翌年には苦境に立たされたものの残留。2シーズンに渡る湘南の特殊な残留劇は、Jリーグ31年の歴史の中で異彩を放っている。