田中を活かすために遠藤が考えていたこと
「碧がボールを触りたいタイミング、前へ行くタイミングがあると思うので、それを見ながら自分も修正して、どうしたら彼がプレーしやすい環境を作れるか考えた」と彼はポイントを口にする。
2021年夏の東京オリンピック(五輪)以来、しばしばダブルボランチを組んでいる2人だが、3バックの2ボランチでやるのは6月のシリア代表戦以来。相手のレベルが上がる中、細心の注意を払う必要があったのだ。
案の定、この日の中国は激しい当たりを前面に押し出してきた。相手がピッチ幅を狭め、4バックのスライドを速くし、両翼の伊東純也・中村敬斗のスタッド・ランスコンビを封じてきたことで、日本は20分過ぎまでシュートを打てない苦戦を強いられた。
「前半、自分たちのミスも多く、相手陣内でうまく試合をコントロールできなかった」と最前線に陣取る小川航基が言えば、中村も「つねに2対1の状況でなかなか前向きに仕掛けられなかった」と苦渋の表情を浮かべる。
そんな厳しい展開は遠藤の想定通り。キャプテンは「まあまあそんなもんだ」と全く動じることなく、「普通に自分たちの戦いを続けていればいい」と冷静に膠着状態を打開しようとトライを続けた。