太田にとって分岐点となった試合
「ああいうセーブは本当に僕一人だけでできるものじゃなくて、その前でディフェンス陣、ミッドフィルダー陣、フォワード陣のみんなが体を張ってくれたおかげでコースが狭まっているので」
J1リーグで149試合の出場歴を誇る、韓国出身のク・ソンユンが開始10分でまさかの一発退場を宣告された10月19日のサガン鳥栖戦で、太田は今シーズン3試合目の出場を果たした。そのまま鳥栖を零封して2−0の勝利に貢献した太田は、サンフレッチェ広島との次節を個人的な勝負の場と位置づけた。
クが出場停止となる首位チームとの一戦で京都を勝利に導けば、絶対的な守護神が復帰した後も、自身が再びリザーブに回る理由がなくなるかもしれない。
迎えた今月3日の広島戦で、太田は魂のセーブを連発。1−0の完封勝利で相手を首位から引きずり落とし、試合後の公式会見で京都の曺貴裁監督を男泣きさせた。
会見場に姿を現した時点で目を真っ赤に腫らしていた指揮官は、太田についてこう言及している。
「何歳になっても成長を求める姿に心を動かされる。少し恥ずかしいですけど、そう思わされました」
中5日で迎えた9日の川崎フロンターレ戦。曺監督は先発に太田を指名し、クをリザーブに回した。太田のなかで、不安の類はなかったのか。正直な思いを、33歳の苦労人はこう打ち明けている。