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Jリーグ 6日前

太田岳志は人の“心を動かす”。京都サンガF.C.で試合に出続ける理由とその分岐点。「何があっても驚かない」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

一瞬の時間で見極めた太田の判断

 そのままゴールラインを割ると判断したのか。振り返ったトゥーリオは、視界に飛び込んできた安西の姿に驚いている。もちろん競り合いにももちこめない。フリーだった安西が至近距離から放った強烈なヘディングシュートが太田の頭上を襲う。万事休す、と観念した直後に、太田が上体をのけぞらせながら反応した。

 必死に伸ばした右手でゴールと思われたシュートをコーナーキックに変え、安西に「あれ以上のシュートは打てなかった。あれならば仕方ない」と白旗をあげさせた太田が、起死回生のスーパーセーブを振り返る。

「ファーサイドが空いているのは、自分の視野のなかで何となく確認していました。マルコ(・トゥーリオ)がいましたけど、シュートブロックを含めて、マルコがクリアするのは難しいと判断しましたし、安西選手にヘディングシュートを打たれると覚悟したなかで、うまく対応できた感じですね」

 次はアディショナルタイムの92分だった。ゴール前で知念慶からパスを受けたブレーネルが、迷わずに右足を振り抜く。鈴木義宜と佐藤響が左右から挟み込むように、眼前でシュートブロックへ飛び込んでくる状況が生じても、シュートコースを読み切った太田が再び右手一本でセーブした。

 それでも太田は自分を含めた、チーム全員でゴールを阻止したプレーだったと感謝している。

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