初めて体験した過酷な日々。プレーする喜びを忘れてしまうほど…
9月と10月の2ヵ月で公式戦15試合をこなす過密日程は、心身ともに簡単な道のりではなかった。試合に出られる喜びを忘れてしまうほどの過酷さを初めて体験した。
「自分のキャリアの中で、中2~3日の連戦でこれだけ試合に出続けることはあまりなかった。言い訳になってしまうけれど、コンディションの部分や脳疲労がすごくあって、そこでのもどかしさもあった。
体よりも頭のほうが疲れていた。常にお腹いっぱいの状態というか…。チームが勝てていなかったこともあると思うけど、すごく難しかった。連戦の中でも、数字をもっと残したかった」
負傷を抱えていたエウベルに代わって先発出場する機会が増えた。それなのに満足な結果を出せない自分自身に少なからず腹を立てた。だからといって下を向いているわけにはいかない。募る悔しさを、次への原動力にしてきた。
冒頭の鳥栖戦は後半14分からの途中出場だった。交代でベンチに下がったのは背番号7。全体練習合流から間もなく、万全のコンディションではないエウベルが先発し、井上はベンチスタートに甘んじていた。実績や信頼度で勝るブラジル人アタッカーの牙城を現時点で崩せていない。
言葉に悔しさをにじませながらも、過信せずに現在地を受け止めている。
「エウベルは力のある選手だし、僕自身もすごくリスペクトしている。だから不満は一切ないし、僕自身の力が足りないだけというのはわかっている。もちろん悔しさはあるので、エウベルの調子が悪くて出場するのではなくて、最高のエウベルに勝てるように自分が力を付けたい」
目標は決まった。