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Jリーグ 1週間前

進化する東京ヴェルディ、「本当の狙いはボールの失い方に」。個性を発揮する仕組みを解剖する【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

「J1屈指の中盤コンビ」森田晃樹と齋藤功佑に死角は…

 撤退守備もプレッシングも手に入れた東京ヴェルディはボール非保持の時間を恐れることはなくなった。相手を追い込みながらハイプレッシングに移行し、試合の観察が終わる段階で自分たちがボールを保持する道を選択するようになる。序盤はGKマテウスがゴールキックを蹴っ飛ばす場面が多かったが、ボールを繋ぐ時間になると、急に振る舞いが変わるので切り替える瞬間は非常にわかりやすい。

 東京ヴェルディのビルドアップ隊は[3-2]で行われることが多い。3バックの両脇に配置される綱島悠斗と谷口栄斗は東京ヴェルディの育成組織出身らしく、ボールを運んで味方を解放することもできれば、時間とスペースを手にしている味方を見つけることもできるし、サイドチェンジや相手陣地での後方支援もお手の物としている。

 中盤でコンビを組む森田晃樹、齋藤功佑のコンビはJ1でも屈指のセントラルハーフコンビと評されることも多い。狭いエリアでのターンを得意とし、列の枚数の調整を前後でできる戦術眼の確かさを両者が兼ね備えているところが彼らの強みだろう。つまり、狭いエリアでもプレーできるし、プレー不可能と判断すれば移動してプレーエリアを変えることもできる。森田は得意のドリブルのスキルで状況を打開することもあれば、齋藤は周りへの立ち位置の指示でバランスの維持をはかることもできる。

 どちらもボールプレーヤーであり、お互いの立ち位置を意識してプレーすることができる森田と齋藤に死角はないと言いたいところだが、相手に対策されたときに起こす変数が2人ではどうしても足らなくなる。大雑把に言えば、横並び、縦並び、斜めの関係の組み合わせでもマンマークや中央圧縮されたときにどうにかできるかといえば、どうしても効果的にボールを前進させられる状況ではなくなってしまう。

 変数を増やすためにシャドウにひとりの選手が起用されるようになって東京ヴェルディの中盤は完成する。その選手が見木友哉だ。

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