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Jリーグ 1週間前

進化する東京ヴェルディ、「本当の狙いはボールの失い方に」。個性を発揮する仕組みを解剖する【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

本当の狙いはボールの失い方にある

 90分の試合のなかで様々な表情を見せることのできる東京ヴェルディ。多くの選択肢を持つなかでも試合の序盤は安全思考な振る舞いを見せている。ゴールキックも繋ぐことなく空中戦の的になれる木村勇大や山田剛綺への放り込みからセカンドボールに殺到する景色はお馴染みとなっている。

 ロングボールを中心に試合を進めていくなかで、ボールを奪ったときの意思統一もなされている。序盤に限ってはしつこいくらいに裏を狙い続けることが特徴だ。ボールを奪う→相手の裏にボールを届けることで走る木村が何度も目撃されている。特にボールを奪った瞬間に裏を意識するボール保持者と裏抜けする前線の選手の関係性は阿吽の呼吸で構築されている。速攻とカウンターが成功すれば言うことはないのだが、本当の狙いはボールの失い方に隠されている。

 ロングボールや相手の裏を最優先に目指すカウンターによるボールの失い方は、相手陣地の深い位置でボールを失うようにコントロールされた攻撃方法だ。ボールを失ったとしても、11人で相手のボール保持を受け止めることができるだろう。

 東京ヴェルディが3バックを導入した主な理由は、ボール非保持の充実にあるのではないだろうか。相手の攻撃を受け止めるためには、ボールを奪ったり失ったりを繰り返す状況では安定して行うことはできない。

 整理された状態で相手を受け止めるためにはボールの失い方をできるだけコントロールする必要がある。相手の観察を含めた序盤戦の東京ヴェルディの振る舞いは、立ち上がりはシンプルという鉄則だけでなく、ボール非保持の安定を同時に達成するための手段であった。

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