「スタンダードにならないと」と強調する基準とは？

「映像で見返して、少しですけど、しっかり反応してたので、だからこそ枠にいく。嗅覚は素晴らしいと思いますし、トレーニングでもとても多くゴールを決めてる。逆になかなか彼にチャンスを作ってあげられていなくて、少し申し訳ない気持ち」と”相棒”の約5ヶ月ぶりとなるゴールに「僕のゴールより正直嬉しかった」と喜んだ。

　前半の立ち上がりは広島の猛攻に押し込まれる時間が長く、そこで得点を決められていたら、また違ったゲーム展開になったかもしれない。

　それでも、マチェイ監督の率いる浦和らしく、そこをしっかりと耐えながら自分たちの狙いある攻撃に持っていって先制点を奪い、後半に追加点で引き離すという理想的なゲームで勝利を飾った。

　広島戦の勝利に繋がった前線からの守備に関して松尾は「監督もいつも言ってますけど、あれがスタンダードにならないといけない」と強調する。その上で、交代選手も含めて基準を落とさずに継続しながら、良い攻撃に繋げていく。

　”守備的”ではなく、良い守備と良い攻撃がリンクするのがスコルジャ監督が目指すサッカーの理想像だろう。その意味で、この日の浦和の戦いぶりは見事だったが、松尾は「今日いい試合をしたからといって、次できなければ立場は危うい。常に常に、貪欲にプレーしていきたい」と主張する。

　この勝利で残留が確定し、残る3試合で変えられるのは勝ち点と順位ぐらいだが、松尾が語るように、ここからどれだけ良い緊張感を持って、締めくくりとなる3試合ができるかどうか。そこに注目していきたい。

（取材・文：河治良幸）