起死回生の同点弾。中村俊輔からの言葉がヒントに
その矢先だった74分、柏のエース・細谷真大に左CKからヘッドを決められ、新潟は窮地に追い込まれる。新潟の守備に生まれてはいけないスペースがポッカリ空き、そこに入り込まれてしまったのだ。
この時点で札幌は湘南ベルマーレに1−1、磐田はガンバ大阪にビハインドという状況であり、新潟は負けると残留争いの泥沼に巻き込まれるリスクが高くなる。それだけは回避する必要があった。
そんな崖っぷちに追い込まれた状況で、橋本は大仕事をしてみせる。
後半アディショナルタイムのラスト1分を切った段階で、左サイドの高い位置を取り、星雄次からパスを受けると、寄せてきた土屋巧を鋭いフェイントで切り返し、左足で大外目がけてクロスを入れた。これを小見が頭で折り返し、ペナルティエリア内に斜めに入り込んできた藤原奏哉が右足を一閃。起死回生の同点弾を叩き込んだ。
「相手が飛び込んできたし、それまでは1回も切り返さないで、そのままクロスを上げていたんですけど、あの時は切り返しましたね。
よく中村俊輔さん(現横浜FCコーチ)が『前半はいっぱいクロスを上げて、後半は切り返すんだ』って話をしているのを昨年聞いて、参考にしました。そういうことを言うと、たぶん(メディアの人に)そこを使われちゃうんで、俊さんに申し訳ないんですけど…」
本人は苦笑しつつ話したが、Bチームで練習していた昨年、偉大なレジェンドからもらったアドバイスが重要な局面で出たのは事実。同じレフティだからこそ、中村俊輔コーチから受けた影響は大きかったのだろう。