なでしこリーグ1部第3節の2試合が11日に行われ、浦和レッズ・レディースがASエルフェン埼玉との“埼玉ダービー”を4-1で制した。
この試合に右SBで先発出場した栗島朱里は、約10か月ぶりの公式戦復帰でフル出場。1アシストを記録してMVPに選ばれている。
昨年6月1日、味の素フィールド西が丘で行われた日テレ・ベレーザ戦に途中出場した栗島は、その直後に相手選手と接触してピッチに倒れたまま起き上がれなくなり、そのまま交代を余儀なくされた。
検査の結果、左ひざ前十字じん帯断裂に加え、内側側副じん帯損傷、外側半月板損傷もともなう大けがと明らかになった。
しかし、受傷から約2ヶ月後に手術を受け、厳しいリハビリを経て以前よりもたくましい姿でピッチに帰ってきた。
チームに復帰してから練習試合でも連続して20分以上プレーしておらず、いきなりのフル出場は「本当に無理だと思った」と話すが、開始から持ち味である読みが冴え、出足の鋭い守備で相手の攻撃の芽を摘み、セットプレーでは正確なキックでチャンスを演出。チームの同点ゴールもアシストした。
負傷前は主にボランチとサイドハーフでプレーしてきた栗島にとって右SBは未知の領域だった。しかし、「周りの選手がフォローしてくれて『思い切ってやれ』と言ってくれたので、失敗を恐れず試合に入れました」と語る通り、仲間のサポートを得て最高のプレーを披露した。
吉田靖監督も「非常にいいプレーをして我々を助けてくれた。彼女はどこでもできる。戦術理解力も高いし、動けるし、いいキックもある。右SBで使うのも全く不安はなかった」と栗島を絶賛し、全幅の信頼を置いている。
「とにかく思い切ってプレーする」意識がもたらした最高の復帰戦。栗島は「今日で満足しないで、2連覇が目標なので、それに向けて一生懸命頑張っていきたい」と力強く今後に向けた意気込みを語る。
昨季のリーグ優勝を外から見届けるしかなかっただけに、今季の2連覇にかける想いは誰よりも強い。
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