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テン・ハフには感謝しかない。マンチェスター・ユナイテッドは次こそ変われるのか。もう負け慣れた、言い訳したくない【コラム】

シリーズ:コラム text by 内藤秀明 photo by Getty Images

ビッグクラブに行っても「人生が良くなることはない」

 アヤックス時代ほど、自身の戦術をチームに落とし込むことができなかったのも事実だ。ただ外から見守る我々では想像できない苦労があったのだろう。

 実際、就任前と今のテン・ハフの写真を見比べると、目元のシワは濃くなり、白髪が増えている。ビッグクラブの監督に就任すると、誰もが皆一気に老け込むことは、欧州サッカーファンの中では有名な話だが、オランダ人監督もまさにその例に漏れない。

 ユナイテッドの新監督候補として何度も名前が挙がったブレントフォードの指揮官トーマス・フランクは『ザ・スポーツ・エージェント・ポッドキャスト』という音声番組にて、「もしビッグクラブへのオファーを受けてそこに行くと決めたとしても、おそらく人生が良くなることはないだろう」と語ったが、正にと言うべきか。指導者にとって幸せとは何なのかを考えさせられる。

 願わくば、テン・ハフがマンチェスターの地で苦悩しながらも働いた時間が、何らかの形でクラブの財産として残っていることを祈るばかりである。そうでなかったら、あまりにも報われない仕事過ぎる。

 ハードワークを欠かさないオランダ人監督一人では、これまでユナイテッドが慢性的に抱える問題を全てクリアすることはできなかった。

 暫定監督になってからの試合の強度の高さを見るに、最終的にテン・ハフは愛されてこそいたものの、リーダーとしての求心力が失われていたことを暗示しており、やはり限界だったのだろう。正しい行いをしようとしても、間が悪ければ全てがうまくいかないこともある。

 いずれにしても監督はかわり、序列はリセットされて、選手たちの戦うモチベーションは高まっているようだ。では新指揮官はクラブをどう変えていくのか。

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