“相手のエース“サカを封じた方法
前提として、自陣で[3-5-2]のブロックを構えるインテルは常に「数的優位」な状況を作り出すことを意識していた。
クロスを上げる選手に対してはWBとインサイドハーフのダブルチーム、ボックス内に入ってくる選手に対しては3人のCBと逆サイドのWBが高い集中力を持ちながら対応。後ろの枚数が多いことからボールサイドに対して躊躇なくプレッシャーを掛けることができており、アーセナルにオープンプレーからはほとんどチャンスを作らせなかった。
その中でビセックとダルミアンが与えられた役割は、徹底してサカに得意な形へと持ち込ませないことだった
イングランド代表でも中軸を担うアーセナルのエースは、本来であれば相手にダブルチームを組まれた状況でも打開できるクオリティを持ち合わせている。ドリブルなどのオンザボールだけでなく、背後への動きにも優れており、彼を封じ込めることは簡単ではない。
そんな難敵相手への対策でスタメンに抜擢された両名は自らに与えられた仕事を愚直にこなした。
本来は右CBで起用されることが多いビセックはスピードに優れた選手で、サカが時折みせる裏抜けに対しては素早いカバーリングで対応。1対1の守備でも簡単に抜かせることなく、逆に前半開始早々にはドリブルでの持ち運びからイングランド代表FWを抜き去って敵陣に押し込む場面も見られた。
ダルミアンはピオトル・ジエリンスキとのダブルチームで常に数的優位を保ちながら、逆サイドからのクロスに対してはマーカーを見失わずに対応。サカとの比較ではスピードで劣るが、ジエリンスキとの2枚で左足のクロスを消しつつ、縦のドリブルを誘いだす形で相手の精度を上げさせない守備を披露した。
サカが苦戦を強いられたことはデータとして証明されており、この試合の地上戦は11戦でわずか2勝。今季のプレミアリーグで勝率50%以上を記録しているアーセナルのエースが、いかに苦しめられたかがわかるだろう。