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Jリーグ 3日前

今や鹿島アントラーズの心臓「お前はボランチの選手だ!」が変えた知念慶の在り方。デュエル王が抱く思い「そこは…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「知念に関しては非常にいい選手に…」

「監督が中後さんに代わったなかで、チームとして狙っていた部分がうまくハマったゴールだったと思っています。前線に強い選手がいるので、もっとシンプルにクロスをあげていこうと中後さんがミーティングでもトレーニングでもよく言っていたなかで、その通りにできてよかった」

 最前線の鈴木優磨と師岡柊生が強さと高さ、そして巧さを兼ね備えているからこそ、左右からクロスをあげるシンプルな攻撃がより有効になる。左コーナーキックからの流れで、相手ゴール前に攻め残っていたDF植田直通の前へ飛び込み、川崎の守備を無力化させた今シーズン3点目は特別な意味も持っていた。

「やはりお世話になったクラブなので、成長した姿を見せたいと思っていました」

 恩返しの思いも込めた知念の先制ゴールに導かれるように、鹿島は18分にMF樋口雄太、28分にはDF三竿健斗がゴールで競演。川崎の反撃を後半アディショナルタイムの1点に封じ、新体制下での初勝利をあげた。試合後の公式会見。かつて知念を指導した、川崎の鬼木達監督がエールを送った。

「鹿島のゲームを見てきたなかで、知念に関しては非常にいい選手になっている、と思っていました。最後にあの形でゴール前に入ってくるところで、ヘディングも強いし、もちろん体も強い。セットプレーの流れではありましたが、ボランチでありながらそういうところで勝負できるのは彼の強みだと思っています」

 今シーズンから鹿島の指揮を執ったポポヴィッチ前監督の眼鏡にいきなりかない、代表組や怪我人が重なった状況下で指名された千載一遇のチャンスでボランチへの適正を示し、いまやチームの心臓部でいぶし銀の輝きを放つ。痛快なサクセスストーリーを紡ぎ続ける知念は、これからも前後左右からボールを奪いにくる相手選手に対して首を振り続けながら、遅咲きのデュエルキングとして鹿島を支えていく。

(取材・文:藤江直人)

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