「最高の監督」と言わしめるコンテの魅力
コンテは感情を爆発させる激情家でもある。テクニカルエリアでは相手監督と激しい口論を交わし、審判団に噛みつくことも少なくない。歯に衣着せぬ物言いで、クラブの幹部にも不満があれば食いかかる。そのため、エキセントリックなデ・ラウレンティス会長とは対立するのではないかとの不安が拭えないが、今のところは幸い双方の衝突はない。
コンテ効果は就任当初から絶大だった。5月、ジョバンニ・ディ・ロレンツォが「ナポリでのサイクルは終わった」と話し、退団は確実視されていたが、コンテは主将の決意を翻意させることに成功。続いて、ナポリを離れる噂のあったフビチャ・クバラツヘリアも自ら説得し、残留させた。
トリノからはイタリア内外のビッグクラブから関心を集めていたアレッサンドロ・ブオンジョルノを獲得。入団会見では「監督との会話で気持ちが高まった。重要な一人だと感じさせてくれ、信頼してくれているとわかった」と語っている。
そして、インテル時代のコンテの教え子のロメロ・ルカクも、恩師への忠誠を尽くす選手だ。ナポリへは、移籍市場が閉幕する直前の8月29日ではあったが、去就が決まる前から「これまで指導を受けた中で最高の監督はコンテ」と明言。そして、4シーズンぶりに相思相愛の監督との再会を実現した。コンテはスクデット獲得の貢献者、ビクター・オシムヘンを手放してまでも、ベルギーのフィジカルモンスターへの愛を貫いた。
コンテに魅せられた男はもう一人いる。