「声ですか? しょうがないです」
2人が接触した後に沖からこぼれたボールを栃木につながれ、パワープレー要員で攻めあがっていたDFラファエルがシュートを放つ。万事休す、と思われた直後にDF原輝綺がブロックで弾き返した。試合後に「助かったよ」と原に感謝した沖は、住吉と接触したシーンをこう振り返っている。
「何もなく普通に試合が続くのが一番ですけれども、お互いがプレーしての結果だったし、試合後にはジェラくん(住吉)ともしっかりと話しました。声ですか? しょうがないです。いつものことなので」
小学生年代のジュニアから鹿島のアカデミーで心技体を磨いてきた沖は、2018シーズンにトップチームへ昇格。2020シーズンからの2年間で、J1リーグで計59試合に出場した。しかし、大ベテランのクォン・スンテの巻き返しや早川友基の台頭もあって、出場機会を一気に減少させていった。
2022シーズンはわずか2試合、昨シーズンはついに0試合となり、カップ戦が主戦場となりつつあった状況で新天地を求める決断をくだした。2シーズン続けてJ2を戦う清水への移籍。権田がゴールマウスに君臨しているのをわかったうえでの決断を、沖は「覚悟を決めてここに来た」と振り返る。