パリ五輪の悔しさを経て日本を飛び出す
「自分が高い位置を取って相手の背後をとりに行くのも問題ないけど、センターバックとの距離がちょっと空いてしまって、リスクが生じかけているケースも多い、と。リスク管理のところは、自分自身でもっと試合の流れを考えながらやらなきゃいけない部分ですし、本当にありがたいアドバイスでした」
先制点からわずか2分後の34分。ここはいける、と判断した北川は、敵陣の深い位置で激しいプレスをかけて相手ボールを奪取。攻守の素早い切り替えからMF藤野あおばの追加点が生まれ、さらに3分後の37分にはFW田中美南もゴールで共演。怒涛の5分間で一気に勝負を決めた。
決して強制はせず、自主的な判断をうながす内田コーチのアドバイスも生かしたハイプレス。エンドが変わった後半にも19歳のMF谷川萌々子が続いた快勝を、フル出場した北川はこう振り返った。
「代表では5枚のウイングバックでプレーする試合もけっこう多かったけど、今回のように4枚のサイドバックでも、前からのアグレッシブなアプローチを含めた個人的な強さを見せられたと思っています」
韓国戦が代表通算14試合目の出場だった北川は、半分以上の8試合を今年に入って記録している。27歳となって念願のなでしこ定着を果たし、ナイジェリア女子代表とのパリ五輪グループステージ最終節では、利き足の左足から放たれた強烈な直接フリーキックにより、待望のA代表初ゴールもあげている。
しかし、初のヒノキ舞台は最終的に優勝したアメリカ女子代表に屈した準々決勝で幕を閉じた。2021年秋から指揮を執ってきた池田太監督が契約満了に伴い退任。さらなる高みへと導ける新監督の選定をJFAが進めているなかで、北川も個人的なレベルアップを目指して海をわたる決断を下した。