「勝つために…」中谷進之介がアクションを起こした理由
「基本的にダニ(ポヤトス監督)はリスクを嫌うので、当然、バランスを見ながらだし、それで守備に穴を開けるようなことはあってはいけないとは思っています。ただ、最近は、ああいうシーンでサイドバックとかボランチが絡んでいく回数がチームとして減っていたので。時間帯としてもまだ序盤で、元気だったし(笑)、自分が入って行けるのなら、それも1つかな、と。
とにかく勝つために何かを変えないと、何かを起こさないと、と思っていた中で、結果、何も起きなかったんですけど、そういうジャブも90分で決着がつくサッカーでは大事な要素になっていくのかなとは思っています」
『彼らしく』と書いたのは、中谷がその思いをプレーで表現する様を、繰り返し見てきたからだ。
ガンバの一員となった今シーズン、副キャプテンに就任した彼は、フィールドプレーヤーで唯一のフル出場を続けながら、現時点でリーグ最少失点を誇る『守備』ではもちろん、精神的支柱としても存在感を示してきた。
「ガンバは間違いなく貴史くん(宇佐美)のチーム。貴史くんの活躍次第で結果が決まるといっても過言ではない。でも長いシーズンにおいて1年を通した結果を求めるには貴史くんに頼りっぱなしではいけない。だからこそ、僕は貴史くんとはまた違う、もう一本の柱としてチームを支えられるようになっていきたいと思っています」
シーズンの初めに語った決意に嘘はなく、ガンバに生まれた『もう一本の柱』は、試合を重ねるほど仲間からの信頼を強め、ピッチの内外で際立ってきたと言っていい。後半戦に入って、6分3敗と白星のない苦しい時間が続いた状況下でも練習場で、あるいは筋トレルームやお風呂場で、宇佐美や一森純らと共に絶えず口を開き、仲間にディスカッションを促してきた姿もそれを示すもの。と同時に、それはピッチでのプレーでも表現された。