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7月には2位に浮上して優勝争いにも加われる位置につけていたガンバ大阪だが、夏場に9戦未勝利と苦しんだ。勝てない試合が続く中で、自身に矢印を向けて行動に移した選手がいた。中谷進之介は何を感じ、何を表現しようとしていたのか。ガンバを勝たせたいという強い思いが、背番号20を突き動かす。(取材・文:高村美砂)
著者プロフィール:高村美砂
雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。
「パワーが足りない」「ヒントにしたのは…」
ガンバ大阪にとっては、J1リーグで10試合ぶりの白星を挙げた第33節・北海道コンサドーレ札幌戦。アディショナルタイムに逆転勝ちに持ち込むというドラマを生んだこの一戦は、2ゴールを挙げた宇佐美貴史が大きな注目を集めたが、影のMVPともいうべき存在感を示したのが中谷進之介だった。守備だけではない、攻撃でも、だ。
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31分、84分のようにセットプレー時に、あるいはその流れからゴールに迫ったシーンもさることながら、特に目を惹いたのは0-1の状況で迎えた前半18分のプレーだ。自陣でダワンがボールを奪った瞬間、ペナルティエリア付近にいた中谷はそこから猛ダッシュで前線へ。中央を攻め上がり、最後にシュートを放った坂本一彩の右側から、圧巻の走力で相手ゴールににじり寄った。
「カウンターから左でいい崩しが入って、一彩のドリブルで持ち込んだ中で、あのエリアに誰かが飛び出していかないと攻撃のパワーが足りないというか。ここ最近の試合でも、チームとして『スプリントをかける』というパワーが足りないと感じていた中でのプレーでした。
ヒントにしたのは名古屋グランパスの稲垣祥選手のプレーで…彼はああいうシーンで必ず走り切っているし『走り続けた人のところにボールは溢れるよね』ってことが起きている。
だからこそチャンス! となった時には、自分もしっかりスプリントをかけようと思っていたし、そこはチームとしても、もっともっと求めなければいけない部分と思っています」
結果的に、坂本のシュートはバーを叩き、こぼれ球も相手GKに当たってゴールラインを割ったが、その瞬間には、中谷もペナルティエリア内に走り込んでいたことを思えば、彼の言葉にも頷けるはずだ。
中谷らしく、メッセージを込めていた。