「本当に自分でいいのか」伝統の7番への想い
「今シーズン、リベンジしたい気持ちもありましたし、個人として(千葉で)成長している実感があったので、もっと積み上げて成長したいと思いました」と、1点の重みを噛みしめ、「今度こそ」の想いで戦う覚悟を示していた。
その覚悟が、今シーズンから背負う7番にも表れている。千葉の7番と言えばチームのバンディエラとして18年間、佐藤勇人氏(現CUO)が長く背負ってきたものだ。この特別なナンバーを身に付ける選択の裏には、どんな想いや背景があったのかを明かしてくれた。
シーズン前にクラブから7番を提示されると、一度は躊躇したが「本当に自分でいいのか、と思いましたが、勇人さんの承認も得て付けて欲しいと。
千葉の7番は象徴で重要な番号だと分かっているので、より一層、責任をもってやらなければという気持ちは増しています」と特別な背番号に恥じない活躍を見せたい意気込みが原動力の一つにもなっているのだ。
千葉の地で個の能力に磨きをかけレベルアップを図り、攻守で存在感を高めているからこそ、小林監督は「数字が付いてきたら、このリーグにいる選手ではなくなってくるということをずっと感じている」という。
徹底的に勝利にこだわり、ハイパフォーマンスを披露する中でも、田中の辞書に満足という言葉はない。ゴール数、アシスト数もキャリアハイを更新中だが、今シーズンの目標を7ゴール、7アシストと掲げる中で、ここまでは5ゴール、7アシストと目標達成はすぐ近い。
4連勝を記録し、シーズン終盤に向けラストスパートをかけるチームに、シーズン序盤に足りなかったものは、ここぞでの勝負強さだった。“絶対に取りこぼさない”“同じ失敗を繰り返さない”という気持ちが、今の結果に出ている。田中は前を向き、次のように言う。
「日ごろの練習から100%で挑んでいますし、手を抜く選手は誰もいません。それが流れを引き寄せているので続けていきたい。J1昇格だけを見て毎日を積み重ね戦っていきたいです」
J2リーグも残り3試合となり、存在感ある攻守の働きでチームを高みに導く。さらにギアを上げる背番号7への期待は高まるばかりだ。
(取材・文:石田達也)