守備は修正も、攻撃には課題が山積みか
「自分は裏抜けだったり、競り合い、ムリなボールを収める仕事が求められていましたけど、あの3枚は硬かった。単独で行くのは難しいんで、もっとコンビネーションで崩さないといけなかった」と師岡も反省していたが、思うようにならずに時間が過ぎていった。
右の藤井も「今週(ケガから)復帰したらいきなり右だったんでちょっと驚いた。でも自分は右で持つドリブルの形はあんまりないし、どちらかというと使ってもらうタイプ。そうじゃないと右では生きない」と戸惑いを覚えながらプレーしていたという。
右で深いエリアを取れないと、左の鈴木がゴールにつながるようなクロスも入らない。「右を起点にして俺が仕留める形かなと思ったけど、前半は思った以上に右が機能しなかった」とズバリ語っており、急造の前線3枚はそれぞれに困難に直面したのだ。
結局、師岡のシュートは、左から鈴木が打開して入れたマイナスクロスに飛び込んだ33分の1本だけ。チームとしての決定機もFKから知念が惜しいヘッドをお見舞いした40分の1つだけで、攻撃の膠着状態が大いに目についた。
後半突入後はまず右に樋口雄太を投入。これで完全に流れが変わらないと見るや、61分から三竿健斗と徳田誉を起用。このタイミングから師岡は今季の本職である右MFに移動した。
だが、右SBは本来の濃野公人ではなく三竿。タテ関係を組むのが初めてで、やりづらさがあったのは確かだろう。66分に中に絞ってボールを受け、左からゴール前に走り込んだ鈴木にタテパスを入れるという惜しいシーンを作ったものの、見せ場はこれくらい。残り15分を過ぎたところでターレス・ブレーネルと交代。不完全燃焼のまま下がることになってしまった。
結局、チームもシュート5本で0−0のドロー。守備バランスの修正という中後新体制の第1テーマは確実に遂行できたが、攻撃の方は推進力を出せずに終わった。そこは最前線に陣取った師岡も悔しさをにじませるしかなかった。