落ち着きと創造性にかけた中盤
サリバ退場以前から、アーセナルは一歩も引く姿勢を見せない強気のボーンマスに苦しめられていた。データサイト『Sofa Score』によれば、アウェイチームの前半のボール保持率は50%で枠内シュートは0本だった。15分を残して10人になったとはいえ、最近のアーセナルでは珍しいスタッツだ。
デクラン・ライス、ミケル・メリーノ、そしてパーティで構成された中盤の先発組は、パワー十分。機動力があって球際の強度が高く、ミドルサードを制圧するのに重要な(物理的な)強さがあった。
その一方で、筆者は創造性や落ち着きに欠けていた印象を受けた。中盤でボールを落ち着かせる必要があったのではないか。人だけでなく、ボールを動かすためにはジョルジーニョやヌワネリといったチャンスメーカーがピッチ上にいる必要があった。
サリバ退場時、中盤にジョルジーニョを入れてトーマス・パーティを右SBに、右SBのホワイトを右CBにスライドして4バックを維持するというのが最も考えやすく、安牌な応急処置だ。これをアルテタ監督が選ばなかった背景には何か理由があるのかもしれない。
次戦は本拠地エミレーツスタジアムに首位リバプールを迎える。厳しい台所事情で臨むこの一戦で、アーセナルは耐えて勝ち点1を得るのか、それとも攻めて勝ち点3を得るのか。どちらを選ぶかが優勝を狙う上で大きなターニングポイントになりそうだ。
(文:竹内快)