狙われたのは「歪な右サイド」
ボーンマスを率いるアンドニ・イラオラ監督は、隙を見逃さなかった。
キヴィオルは左CBと左SBの戦力として数えられており、右CBは経験の少ないポジション。慣れない右サイドでのプレーということもあってポジショニングや周囲の選手との連係面で問題が発生するのは想像に難しくない。
そこで、ボーンマスはアーセナルの右SBホワイトを前に釣り出し、生まれたスペースから侵入を開始。相手は1人少ないことに加え、ホワイトのカバーに回るのは本職ではない選手。歪なアーセナルの右サイドのユニットを執拗に狙うことは、極めて現実的で効果的な選択だ。
耐え続けたアーセナルだったが、70分にセットプレーから先制点を許すと、79分にキヴィオルのバックパスからPKを献上。さらに追加点を許し0-2という厳しい状況に追い込まれた。
キヴィオルの対応がまずかったのは確かだが、これで彼を責めるのはあまりにも酷だろう。
普段左サイドでプレーしている選手が、右サイドでプレーすることになれば、目に入る景色も守備対応もすべてが180度変わる。イレギュラーな状況でピッチに立つことになった上に、慣れない右CBでの出場。キヴィオルは、誰よりも厳しい環境で果敢に戦ってくれた。
分かりやすいミスはスケープゴートにされやすい。が、目を向けるべき問題はアーセナルが有効な攻撃をほとんど繰り出せなかったことではないだろうか。
筆者は、中盤にテコ入れを図るべきだったと考えている。最終ラインと同じくらい、昨夜のアーセナルの中盤は落ち着きがなかった。