クラブ史上初タイトルに向けて
もともと精力的に前からボールを追う守備は得意だが、無闇にやりすぎると相手に剥がされて起点を作られたり、全体が間延びして、新潟の守備の生命線であるコンパクトさが失われるリスクもある。そうしたテーマに向き合いながら、サボらない守備というのを続けている。
長倉がここまで、リーグ戦以上に結果を出しているのが決勝に進出しているYBCルヴァンカップだ。準々決勝のFC町田ゼルビア戦、第1戦で衝撃的な4ゴールを決めて強敵の撃破に導くなど、大会得点王がほぼ確実となっている。
新潟にとっての初タイトルを目指す決勝は「大きい目標というか、1個でかい試合という意識では大きいですけど、それでリーグ戦を蔑ろにすることはないので。この一戦もそうですし、次の東京ヴェルディ戦も勝てるようにやっていきたい」と語る。
浦和レッズのアカデミーから順天堂大学に進み、卒業後はプロ入りできずに関東サッカーリーグの東京ユナイテッドFCでボールを蹴っていた長倉。浦和ユース時代からの恩師である”組長”こと大槻毅監督(当時)に導かれて、ザスパクサツ群馬でJリーグのキャリアをスタート。
そこから昨年7月に、J1の新潟に移籍するというシンデレラストーリーのようなステップアップをしてきたが、長倉は「試合に出てない選手も、自分よりもクオリティ持ってる選手はいるので。甘えずというか、常に成長していけるようにやっていかないと、すぐベンチになってしまう」と強調する。
叩き上げのストライカーが、ここから残りシーズンでも存在感ある攻守の動きとゴールで、チームを勝利に導けるか。11月2日のルヴァン杯の決勝に向けても期待は高まるばかりだ。
(取材・文:河治良幸)