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Jリーグ 5日前

「良さが消えていた」橋本健人に気づきを与えた言葉。アルビレックス新潟で築く関係性「やめちゃったらもったいない」【コラム】

シリーズ:コラム text by 野本桂子 photo by Getty Images

堀米悠斗がかけた言葉の真意「やめちゃったらもったいない」

「紅白戦で相手としてやったとき、健人が左足で持っても、中に1枚しかいないからとクロスを上げるのをやめて、やり直すシーンが連続してあったので、言いましたね。『クロスを上げたほうがいいんじゃない?武器なんだから』って。『健人が持ったときはボールが出てくるっていうことを分かってもらうために、最初は中の選手と合わなくても、クロスを上げたほうがいいよ』って」。

 ライバルではある。だが、橋本に対するリスペクトがある。「それを言うのは、健人の精度があるからこそ。それが武器で、それを持ち味としてプレーしてきているなら、今からやめちゃったらもったいないと思ったので。だから、『どんどん上げていいよ』って。でも、そのくらいですよ。あとは彼自身が、自分の感覚でつかんでいきました」。

 今では橋本も「自分がボールを持ったとき、走り出してくれる選手が多いと感じる」というほどになり、「仲間との信頼関係をもっと積み上げていくためには、動き出しを見逃さず、常に通せるクオリティを保ち続けなければいけない」と、ますます武器に磨きをかける。

 橋本もまた、堀米をリスペクトする。「新潟に来る前も、来てから試合に出られないときも、ゴメスくん(堀米)のプレーを見て勉強していたので。そういう意味では、いいライバルとして競争できていますし、やっぱりゴメスくんは、キャプテンなので。自分がキャプテンの代わりに出るという重みと責任感は、試合に出るとき、毎回感じながら出ています」。

 そして、チームへの感謝も忘れない。

「僕のルヴァンカップは、徳島のときに1回戦で長野に1-5で負けて、1度終わっている。準決勝という素晴らしい舞台で、サポーターもたくさん来てくれて、ああいうしびれる試合というのは、そうそうできる経験じゃない。そこに立たせてもらっていることに、感謝の気持ちしかないですし。自分がいない時から、負けたら終わりの戦いを、全員で勝ち上がってきているのは分かっています。だから、ここまで戦ってきた選手を差し置いてじゃないですけど、途中から来た自分が出るという責任感も感じながら、いい緊張感の中でできたと思います」と、その役割を果たし、決勝へと導く力になった。

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