「まだまだギラギラしています」
「僕自身、90分間フル出場して6失点というのは、なかなかショッキングな結果でした」
リーグ戦で未勝利のまま森保ジャパンに招集され、9月5日の中国代表とのアジア最終予選初戦に臨む直前には、今夏に就任したばかりのイタリア出身のクリスティアン・ラタンツィオ監督が解任。ベルギー出身のフェリス・マッズ新監督が就任した一報を、谷口は「SNSで知りました」と明かしている。
「チームからは連絡もきていなかったですし、初めて(監督交代を)知ったときは『マジか……』と思いましたけど、いまは代表の活動期間中なので最終予選に集中しています」
新監督の意向次第では、合流後にポジションを失いかねない。しかし、これは杞憂に終わった。新体制でも最終ラインの中心に谷口をすえたシント=トロイデンは、ルーヴェンとの再開初戦で初勝利をマーク。続くベールスホット戦では初の完封勝利をあげるとともに、谷口も移籍後初ゴールをあげている。
33歳でのヨーロッパ初挑戦を、谷口も「なかなか前例がないですよね」と苦笑しながらこう受け止める。
「あまり聞かないようなキャリアの歩み方をしていると、自分自身でもよく理解しています。ただ、レベルの高い場所というか、自分が成長できる場所でサッカーをしたい、という思いは常にもっていました。この年齢で初めてとなるヨーロッパ挑戦を僕自身もワクワクしているし、まだまだギラギラしています」
飢餓感とともに手にした経験を、今度は代表に還元していく。いわゆるヨーロッパ組のサイクルにも身を置いた谷口は、森保一監督が本格的な導入を目指す「攻撃的な3バック」の真ん中を託され、中国、バーレーン、敵地では過去3戦全敗だったサウジアラビアとの最終予選をすべて無失点に封じてきた。
迎えたオーストラリア戦で無失点は途切れた。しかし、日本も1−1で引き分けて無敗継続は譲らなかった。途中出場した左WB中村敬斗が縦へ突破し、さらに中央へえぐって放ったクロスが相手のオウンゴールを誘発。同点とした76分の場面を後方から見ながら、谷口は気持ちをさらに震わせている。