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昨季、クラブ初のリーグ優勝を達成したヴィッセル神戸は、今季も優勝争いに加わる。ロングボールや強度の高いプレッシングといったイメージが先行するが、実情は多少異なる。それらが機能するための制度設計やギミックをひも解くことで、神戸が勝ち続ける理由を考察していく。(文:らいかーると)
ヴィッセル神戸といえばロングボール。その仕掛けをひも解く
先月末にサンフレッチェ広島がFC町田ゼルビアとの首位攻防戦を制して首位をキープした一方、気がつけば前年度の覇者であるヴィッセル神戸は広島に1ポイント差で迫っている。14位、3位、13位、優勝と、ジェットコースターのように順位を移ろってきたが、どうやら強さは本物のようだ。有力な若手はすぐに海外に移籍してしまう時代において、主軸を担う元日本代表たちが海外に引き抜かれる可能性は低いだろう。そんな戦略も興味深い神戸について今回は考えていきたい。
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神戸といえば、ロングボールである。大迫、武藤を空中戦の的とするボールを前進させるスタイルは相手にとって脅威になっている。少しでも空中戦の勝率をあげるために、相手のサイドバックと競り合うように設計されているところがにくい。ただでさえ相手のセンターバックにも競り勝ちそうな大迫と武藤がサイドバックに迫ってくるのだからだ。
サイドで競るときにはポイントがふたつ存在しており、この仕掛けが機能している。ハーフスペースに大迫、大外に武藤といったように、空中戦の的がふたつ存在し、片方の選手はセカンドボールを狙う仕掛けになっている。この関係性は逆サイドの宮代大聖、井出遥也でも行われている。途中から交代で出てくる佐々木大樹も空中戦の的として機能することができる。パワーは偉大だ。
ロングボール大作戦で重要なのはロングボールの終点だけでなく、起点も大切となる。レアル・マドリードで一時代を築いたトニ・クロースを例に出すまでもなく、ロングボールの精度は選手の価値を決めると言っても過言ではない。ロングボールの起点で大切なことは、ロングボールを蹴る選手をオープンにすることである。クロースの列を降りる移動は有名だが、神戸の場合は可変式を採用している。