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日本代表 1か月前

「シュートも打ててない…」サッカー日本代表、久保建英がぶつかった壁。“自分が自分が”以上に必要だったこと【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

選択肢が豊富な中盤。久保の地位は…

 前半は結局、三笘薫や南野拓実の惜しいチャンスも決められず、0−0で終了。後半突入後もなかなか流れが変わらなかった。

 こうした中、久保は素早い攻めから左を走り込んだ南野に絶妙のクロスを送り込んだが、これもゴールには至らずじまい。直後にまさかのオウンゴールで失点してしまい、日本は窮地に追い込まれた。

 そこで指揮官は62分に堂安と伊東純也をスイッチ。右サイドは久保と伊東という新たな関係になり、久保はインサイドに絞ってチャンスを窺った。

 しかし、それも10分足らずで終了。久保は鎌田と代わって退くことになったからだ。「結局、枠内にシュートも打ててない…」と本人も不完全燃焼感を色濃く覚えた様子だった。

 その後、日本は中村の積極的な仕掛けから強引に1点をもぎ取り、何とか敗戦を免れた。背番号13がアグレッシブに斜めに切り込んでいったプレーを目の当たりにして、久保には新たな発見があったようだ。

「世界の強豪がただサイズがデカいだけの3枚を並べるかって言ったら、そうではないと思いますけど、今回の相手とまたやることがあれば、タテに行ってクロスを上げるだけじゃなくて、中村選手がやったように、中に侵入していく方が相手も嫌なのかなと。WBなり、ワイドの選手がタテにえぐり切るというのが大事なのかなと思います」

 確かに今回の久保はタッチライン際をタテには行っていたが、斜めにえぐって自らシュートしたり、味方にマイナスクロスを入れるようなシーンが少なかった。そうやって攻撃の幅を広げていかないと、代表でコンスタントに試合には出られなくなる。

 実際、シャドウのポジションは南野と鎌田、10月シリーズでその位置に起用された三笘、中村、堂安もいて、本当に選択肢が豊富だ。久保の地位が保証されているわけではない。

「自分が自分が」とエゴを押し出せるところが久保の魅力ではあるが、全体的にうまくいっていない時の冷静さや落ち着きももっと身に着けることも肝要だ。

 彼にはまだまだやるべきことがある…。それを再認識する意味で、今回のオーストラリア戦は大きな意味があったのではないだろうか。ここからの前進に期待するしかない。

(取材・文:元川悦子)
 

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【了】

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