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日本代表 1か月前

「シュートも打ててない…」サッカー日本代表、久保建英がぶつかった壁。“自分が自分が”以上に必要だったこと【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「日本代表の勝利が一番」と頭で分かっていても…

 10月6日のアトレティコ・マドリード戦を終えて一目散にジェッダ入りし、9日の練習後には「僕自身のコンディションはたぶん今、一番いいんじゃないですかね。メチャクチャ調子はいいです」とアピールしていたものの、この時点では代表戦2試合連続先発落ちが確定。「日本代表の勝利が一番」と頭で分かっていても、どこか割り切れない思いをにじませていた。

 実際、10日のサウジアラビア戦(ジェッダ)は自身に変わってシャドウで頭から出た鎌田大地が先制点をゲット。久保自身は2−0の状態だった88分に中村敬斗と登場し、クローザーとしての役割を果たしただけ。だからこそ、オーストラリア戦に賭ける思いは強かったはずだ。

「(2位・オーストラリアと)勝ち点5差開いてますし、僕らは気負う必要はない」と本人も冷静な入りを心掛けたが、右シャドウに入った以上、ゴールに直結する仕事が必要だと考えていたはず。序盤から右ウイングバック(WB)の堂安とポジションを入れ替えつつ右の大外に張り、仕掛ける意識を前面に押し出した。

 それがゴールに結びつきそうだったのが、開始6分のビッグチャンス。堂安のクロスが跳ね返され、こぼれ球を拾った板倉滉(ボルシアMG)がヘッドで右へ展開。そこでボールを受けた久保が積極果敢な仕掛けを見せ、中央へ折り返すと、ペナルティエリア内に詰めていた田中碧が駆け引きから浮き球のパスを供給。フリーになっていた久保に通った。

 次の瞬間、彼は左足を振り抜いたが、大型DFハリー・サウター(=19番)の寄せにも阻まれ、サイドネットを強襲。

「ホントはファーに打ちたかったんですけど、切られてたんで、ニアに速いボールならいけるかなと思った。ちょっとズレましたね」と本人も枠を捉えられなかったことを悔やんだ。
 

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