W杯でベスト8を目指すなら…
62分、堂安に代えて伊東。伊東、三笘の飛車角が揃う。64分にはさっそく伊東が一瞬で縦に突破してクロス、上田綺世がヘディングで合わせるチャンスを作る。結果論だが、伊東を先発させて60分間プレーさせたほうがよりチャンスは作れたかもしれない。
70分、南野→鎌田大地、久保→中村敬斗の交代カードが切られる。南野は左で三笘と良い連係を見せていて、得点力を期待できるだけに交代は惜しい気もしたが、日本のシャドーはそれだけ層が厚い。
ただ、南野のポジションに鎌田が入ったわけではなく、左シャドーは三笘。久保と交代した中村が左WB。これについて森保一監督は、「(三笘は)疲労もあり、より上下動できる中村をアウトサイドへ置いた」と、説明していた。
久保、堂安の右サイドもおそらく同じ理由だろう。攻め込んだときは位置が入れ替わるが、より上下動のできる堂安がアウトサイドである。シャドーに入った三笘も前半の久保のように外へ回ってドリブルで仕掛けていた。
中村&三笘の「ダブル・ウイング」はすぐに猛威を振るう。76分、中村がゴールポスト付近まで食い込むドリブルから、GKとDFの間のわずかな隙間を抜くラストパス。上田に渡る前にオーストラリアDFがカットしたがオウンゴールとなった。
その後も、中村と三笘は交互に左サイドを蹂躙。伊東も積んでいるエンジンが明らかに違う馬力で圧倒的だったが2点目は奪えないまま終了となった。
遠藤不在でボランチに入った田中は守田とともに危なげないパスワークを披露。所属のリーズではより後方のボランチだが、守田と交互にDFの助けに入るなど円滑なコンビネーションだった。
板倉は再三カウンターを未然に防ぎ、町田浩樹、谷口も手堅い守備。1失点はしたものの破綻なく守れていた。
今回は1ゴールに終わったが、タレントを並べた攻撃も相変わらず迫力があった。ただ、W杯本大会を考えるとフィニッシャーは課題になる。絶対的なストライカーがいるだけでは勝てないが、日本がベスト8以上を目指すなら、そこだけが物足りない部分かもしれない。
(文:西部謙司)
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