イタリアで初めて目の当たりにする環境
「力を入れすぎると逆にミスキックになるので、うまい具合のパワーが大事になってきます」
9月シリーズから初めて「1番」を託されている。さらに2021年の東京オリンピック(五輪)をともに戦った、サンフレッチェ広島の大迫敬介、FC町田ゼルビアの谷晃生がリザーブとしてスタンバイ。最終予選を戦うキーパーユニットはいずれもワールドカップ(W杯)出場経験のない、平均年齢23.33歳のトリオに再編成された。
1997年1月1日以降に生まれた東京五輪世代は大迫がまずけん引し、湘南ベルマーレへの期限付き移籍をきっかけに急成長した谷が本大会では守護神を拝命。昨年11月に幕を開けたFIFAワールドカップ26アジア2次予選から、東京五輪では3番手だった彩艶がファーストチョイスを担っている。
ベスト8敗退を喫した今冬のアジアカップでは安定感を欠くプレーが続き、彩艶本人が批判を浴びるだけでなく、先発にすえる森保監督の采配に対しても懐疑的な視線を向けられた時期もあった。
「試合に対するサポーターを含めた熱の強さというのを感じるので、ミスをすれば当然叩かれるし、逆にいいプレーをすれば称賛される。日本ともベルギーとも違って本当に特殊というか、サッカーに対する熱量というものが本当にすごいし、そのなかで自分自身も強くなれているのかな、と」
パルマでも守護神を務める彩艶は、キーパー大国イタリアで初めて目の当たりにする環境が、自分自身を内側からも変えていると明かしながら、大迫、谷と切磋琢磨する代表での日々に感謝している。
「自分としては2人のサポートを受けながらピッチに立っている分、絶対に結果を出したいと思っている。本当にレベルの高い競争のなかで常に練習ができている状況に、心から感謝しています」
たとえ失点を喫したとしても絶対に下を向かない。状況によっては自らの最大の武器の封印も積極果敢に解く。そして、もっとも身近なライバルたちへの畏敬の念を力に変える。彩艶は3つの誓いを胸中に秘めながら、勝てば2年後の次回W杯出場を大きく手繰り寄せる大一番のキックオフを待っている。
(取材・文:藤江直人)
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