味方をも驚かせた鈴木彩艶の武器とは?
「弾き方という部分ではもうちょっとできたと思うので、そこは改善していきたい」
もうひとつ、日本のファン・サポーターだけでなく、味方をも驚かせたプレーがある。エンドが変わった50分。DF谷口彰悟のバックパスを受けた彩艶は、ボールを落ち着かせてから右足を一閃。敵陣の中央まで運ぶロングキックをFW上田綺世へ通し、上田が相手のファウルを獲得して状況を一変させた。
「パスをつなぎながらも、自分の武器も忘れないようにしている。自チームでも自分のキックからチャンスを作るところを含めて、苦しい状況から裏返して、チームに勢いをもたらす守備ができている。たとえ一発目で味方につながらなくても、セカンドボールを拾えるところで非常に有効になると思っている」
森保一監督が掲げる戦術のなかに、彩艶のロングキックは入っていない。それでも浦和から昨夏にベルギーのシント=トロイデンへ移籍し、さらに今夏にはイタリアのパルマへステップアップし、実戦経験を積み重ねてきたなかで所属クラブから求められるプレーを、日本にも還元したい思いを強くしている。
実際、9月シリーズの中国戦を前にして、彩艶はこんな言葉を残していた。
「海外でプレーしてきたなかで、自分の武器であるロングキックから得点につながるチャンスを作るケースが多くなってきた。それをこの代表でも、という部分にはトライしていきたい」
サウジアラビア戦でロングキックを放った際には、細かいステップをちょっと踏んだだけだった。それでも上田を驚かせた彩艶は、もっと飛ばせるのか、という問いに思わず苦笑いを浮かべている。