「余裕はほしいですね」その真意とは?
23分にはロングパスにフェラス・アルブリカン(9番=アル・アハリ)が抜け出したが、町田が危機察知能力を発揮し、相手をフリーにさせなかった。
最大の見せ場だったのは、4分後のカウンターの守備。町田がキャプテンのサレム・アルドサリ(19番=アル・ヒラル)のシュートブロックを見せたのを皮切りに、日本は魂の3連続シュートブロックを披露。鬼気迫る組織的守備は見る者の心を大いに揺さぶった。
「本当に前半のシュートブロックとかもみんな体を張っていましたし、しっかりといいコミュニケーションを取りながら守備ができた。3人でつねにラインをズルズル下げない、高いラインを設定しようと声を掛け合っていましたし、誰かが競った後のカバーリングや距離感もよかったと思います」と本人も納得の表情を浮かべた。
後半に入ってチーム全体がブロックを敷いてからも、町田は数々のピンチを体を張って阻止。頭抜けた安定感を押し出し、90分間フル稼働してみせた。
これで最終予選3試合無失点。「冨安・伊藤がいなくても十分に手堅い守りを見せられる」という確固たる自信を彼らは手にしたのではないか。
「5枚でしっかり守ったら簡単に崩れない。しっかり構えた時に崩れないという自信はつきましたし、それはすごく大事なこと。ただ、攻撃の部分は改善の余地がまだまだあると思う。今日みたいなプレッシャーで来た相手をいなせるくらいの余裕はほしいですね」と町田本人はさらなる高みを追い求めていく構え。それが冨安・伊藤復帰後も自身の地位を守ることにつながるからだ。
今回の敵地・サウジでの2−0勝利、歴史的な鬼門突破は町田が「DF要員の1人」から「守備の大黒柱の1人」へと変貌を遂げた一戦だったと言っても過言ではないだろう。ここから森保監督がDF陣をどう回していくかが気になるところだ。
いずれにしても、10月シリーズはもう1試合ある。15日のオーストラリア代表戦(埼玉)でも無失点を継続すれば、11月に2人が戻ってきても現3バックの維持という判断になるかもしれない。
そうなるように、彼らには鉄壁の守りを示すことが強く求められる。27歳にして浮上のチャンスをつかんだ町田の今後が非常に楽しみだ。
(取材・文・元川悦子)
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