監督のアドバイスが生きた先制点
「強気で蹴れよ、と。フワッとしたボールではなく速いボールを、とも。長く指導者をされているから、おそらく自分が弱気でボールを蹴ったのがすぐにわかる。その意味でのコミュニケーションであり、アドバイスだと僕は思っている。怖いぞ、と言われてきたこととのギャップというか、いまは優しさを感じています」
長谷川監督のアドバイスを生かした徳元が、先制点をアシストしたのは開始わずか3分だった。名古屋が獲得した右コーナーキック。徳永は「まだ試合があるので」と多くは語らなかったものの、ボールをセットした時点で味方に伝えた狙いどころを、蹴る寸前になって合図を介して変えたと明らかにした。
「そこは自信をもって、強気に蹴りました。健太さんのプレッシャーのおかげだと思っています」
狙ったのはニアサイド。マリノスが身長185センチのFWアンデルソン・ロペスをストーン役で立てていたその背後で、ロペスに仕事をさせないように、ボランチの椎橋慧也がプレッシャーをかけていた。
そして、徳元の左足からインスイングで放たれたボールは、ロペスの頭上を越えて急降下。以心伝心でロペスの背後から離れ、ニアポストを目がけて突っ込んだ椎橋の頭を介してゴール中央に突き刺さった。
ベガルタ仙台、柏レイソル、そして今シーズンから所属する名古屋の9シーズンで、リーグ戦193試合に出場して6ゴールの椎橋が決めた先制弾。公式会見で「まさか彼が取るなんて、われわれも思ってもいなかったですよ」と驚いた長谷川監督に対して、椎橋は「狙い通りですよ」と胸を張った。
そして、敵地で完璧なホットラインを開通させた徳元も笑顔で続いている。
「練習からシイ(椎橋)とはフィーリングも合っていたので、コースを変えてよかったです」
11分後の14分には、今度は左コーナーキックからDF三國ケネディエブスの追加点をアシストした。ゴール中央の誰もカバーできない空間へ。身長193センチの巨躯を誇る三國へ「入ってこい」と、強気のメッセージを込めながら蹴ったと明かした徳本は、追加点が決まるまでの光景をこう振り返った。