同点ゴールの真相「ファーストタッチがうまくいったのと…」
敵陣の右サイドの深い位置で、MF松崎快とパスを交換したDF原輝綺が逆サイドへ浮き球のパスを展開する。ターゲットとなった矢島はペナルティーエリア内の左側で、右足での正確なトラップから前を向くと、ボールを水戸ゴールから遠ざかる方向へ、ペナルティーエリアの外側へまず運び出した。
意表を突く動きで、マーカーについたFW山本隼大をかわした直後。矢島は体を強く捻りながら、利き足の右足を思い切り振り抜く。強烈なシュートはブロックしようとしたDF山田奈央の頭をかすめ、飛んでいくコースを水戸の守護神・松原修平が反応した方向とは逆に左へ変えてゴールへ吸い込まれた。
出場28試合目で決めた、チームで3位となる6ゴール目。そのうち4つを途中出場で決めている矢島は、前半に背負った2点のビハインドを追いつく、起死回生の同点弾をこう振り返っている。
「クロスに入っていくプレーは監督からの指示でもあったし、テル(原)がクロスを上げるのもわかっていた。あとは自分のファーストタッチがうまくいったのと、最初はコースを狙う感じでしたけど、最後は気持ちを込めて右足を振り抜こう、と。相手に当たりましたけど、ゴールになってよかったです」
浦和レッズのアカデミーから、トップチームへ昇格したのが2012シーズン。13年目を迎えたプロのキャリアで、浦和を皮切りに延べ9つ目のチームとなる清水へ、今シーズンから完全移籍で加入した。
清水を率いる秋葉監督と同じチームで共闘するのは、コーチと選手の間柄で戦い、無念のグループステージ敗退を喫した2016年のリオデジャネイロオリンピック(五輪)以来、約8年ぶりとなる。クラブチームでは初めて同じユニフォームに袖を通す矢島は、1月の新体制発表会見でこんな言葉を介して周囲を笑わせている。