なぜ望月はCBとして起用されたのか
ロングボールを左SBの三浦颯太に頭で落とされ、FWマルシーニョが拾った直後。マルシーニョへの対応が、中途半端になったと望月は悔やんだ。
「ああいう場面でもっとはっきりしたポジション取りとか、素早い判断力を求められてくるので。ああいうミスをしてしまった以上は、映像を何度も見直してセンターバックの経験値や能力をあげていきたい」
逡巡する望月を翻弄するように、マルシーニョはその背後へ走り込んだFWエリソンへのスルーパスを選択。谷がエリソンを倒し、PKが宣告されるまでの数秒間で、望月は何もできずに立ち尽くしていた。
これを50分にエリソンが決めると、さらに71分には自身が受け持つ右サイドを崩され、マルシーニョにとどめを刺される。
サンフレッチェ広島との首位攻防天山で完敗して、3位に後退してから7日。再出発を期した川崎戦は今シーズン初の逆転負けを、リーグ戦では今シーズンワーストとなる4失点を許す屈辱とともに、黒田剛監督体制になって2シーズン目で初めて喫する連敗とともに終えた。
DFドレシェヴィッチもスタンバイしていた状況で、なぜ望月はCBとして起用されたのか。
「対面のウイング、マルシーニョ選手が非常に速いので、裏のスペースを突かれたときの対応とか、右サイドバックの(林)幸多郎くんのカバーも求められた意味合いもあったと思っています」
黒田監督の采配の意図をこうくみ取った望月は、ある誓いを秘めながらピッチに立っていた。それは森保ジャパンに大抜擢された9月シリーズを境に激変した、周囲から向けられる視線に対する反応となる。